結局、普通に答えただけになっちまったな。
我ながらもう少し気の利いた言い回しはできねぇのかと思う。
何はともあれ、これで掟も守って心配するようなことは無くなった。

いや、一つあるか。
この後の周りの反応がどうなるかがちょっと心配ではあるな。
アイスに被害が及ぶようなことがなけりゃあいいんだが……。

そう上手くはいってくれないから人間関係って奴は難しい。

予想以上に場違い感があるんだがっ！？
やっぱり『お年玉』で宝石のアクセサリーはやりすぎたか？

いや、ウダウダ言ってもしょうがねぇ。
俺は俺自身に従ってアレを渡した。
なら、後はどんな反応をされようが受けとめねぇとな。


しっかし、いつの間にやらあっちこっちに付き合ってるのがバレてるなぁ。
後ろめたいこともねぇし、進んで隠すつもりもなかったがこれには驚いたぜ。
もしかすると俺がしらねぇ島の探索者にも知れ渡ってたりするのか？
だとしたら田舎の村並みの筒抜けっぷりだな……。

何にせよ、聞かれちまった以上は答えないわけにはいかねぇ。
モテ隊の掟とやらもあったし、案外ちょうど良かったかもしれねぇな。

……しかしどう答えたものか？

長い人生、何があるか分からないってやつだろう。
この島に来る前は、こういう展開になるとはまったく思っちゃいなかった。
まぁそんなこと言ったら、この島に来てから予想外の連続なんだけどな。

俺が誰かを好きになることならある気はした。
しかし実際に恋人関係、そして更にその上の婚約関係になることができるなんてな。
いや、早くもそういう関係になったのは俺が原因か。

そうだ。
だからこそ、後悔なんぞさせやしない。
させるなんて事態は絶対に起こさせやしない。
そのための努力は惜しまない。

気合を入れろ、亀闇鋼ッ！！
もう一度、そして新たな覚悟を決めるときは今だっ！！


俺が彼女を好きで、愛しているのは本当だ。
そこには何一つの嘘もない。
ならば、今の状態はあまり好ましくない気がする。

近いうちに話すべきなのかもしれないな。
俺が隠してる問題ってやつを。

最悪、見捨てられそうで怖いったらありゃしねぇけどな。

やれるだけのことはやった。
後はあちら次第になる訳か。
まぁ後悔はない、むしろ清々しいぐらいだ。

何となく、返答の第一声はどちらにしろ非難な気はするな。
流石に直球過ぎた気がするからなー。


返答はかなり気になるが、今は別にやるべきこともある。
モテ隊のイベント「お見合い初詣でポン」の司会だ。
打ち合わせは滞りなく終了して、後は実際に実行に移すだけ。

ホストでも似たようなことをやったからな。
別段、緊張もしないし問題は何も無いはずだ。
そんじゃま、気合入れて声出して！司会をさせてもらおうかっ！！

モテ隊本命イベントのお見合い、一日目はどんな感じになってっかな？
そして、打ち合わせの時も特に触れないままになってた返答は如何に！？

「後は察しろバカーッ！！」

怒られた。
しかし察しろ、か。
流石にここまで来て察せないほど馬鹿でもない。
そして逃げるつもりなんてさらさらない。

それにしても最悪だな、俺。
これじゃあ、彼女の方から動くのを待ってたみたいじゃねぇか。
まだ直接的な言葉を言っていないとはいえ、そんなものは何の言い訳にもなりゃしねぇ。
……みたいじゃなくて事実その通りか。
俺もまだまだ、一人前の男にはほど遠いってことだな。

情けない戯言はここまでだ。
後悔、先に立たず。
ならばその後悔は後に生かすしかない。


周りの目もあるだろうが、そんなことは関係ねぇ。
逃げるなんて選択肢も有り得ない！
ここで男気見せずして、男児を名乗る資格無しっ！！
覚悟を決めた男の姿、とくとご覧あれ！

まぁ、あちらさんは周りの目が気になるかもしれねぇけどな。
恥ずかしいかもしれねぇが、少々我慢してもらおうか。